花は桜木、人は武士。
2、月明りの会話。
俺は真珠、歳は16。麓(ふもと)の村に住んでいるんだ。今、空を眺めていたら朱鷺(トキ)が舞っていたんだけれど、君が...
ここはいいところね、夜空を眺めに来ていたの?
うん。ここにいると落ち着くんだ。
日は昼に輝き、月は夜照らす、武士は武装をして輝き、道を求めるものは静かに考えて輝く。なぜだろう真珠は最近読んだ言葉が出てきた。
すてきな事葉ね。武士は武装をして輝き、道を求めるものは静かに考えて輝く。お日様やお月様が輝くのと同じなのね。ルナはとても優しい表情だ。
真珠はルナのその感じから安心して話す、武士の生きかたってどんなふうなんだろう?最近気になりだしたんだ。
そうね、どんな感じかしら、あなたはどう思う?
真珠でいいよ。
私もルナでいいわ。
好きな詩というか歌のようなものならあるんだ。
かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂。
吉田松陰さんの事葉なのだけれど。こうすればこうなると解っていても、それでもやはりどうしてもしなければならない時もある、そういうのが武士の世界にはあるみたいで、なんとなくかっこいいなと思って。
後、松蔭さんは 至誠にして動かざるものは未だこれ有らざるなり と歌っているんだ。それも獄中からだよ。この歌を思うと、本当の気持ちがあるならばその思いは通じるのかなって思うんだ。 吉田松陰は本当に武士だと思う、尊敬するよ。
ルナは話を聞きながら、真珠の瞳があまりにも真っ直ぐで光り輝いていると感じた。
うん、なんかその気持ちわかるわ。ルナが優しく微笑む。
真珠が西の空をみると、月が沈もうとしている。
今日はそろそろ帰るは、又会いましょう、必ず。ルナの瞳には少し潤いがある。
真珠は別れるのが嫌な感じがしたが。うん、必ず、じゃあ又。
真珠は来た道を引き返し始めた、ルナの事が気になり振り返ろうとしたが、気持ちを抑えてただ来た道を引き返した。